ATVのナンバー取得

ATVでナンバーを取得することは不可能だと、今まで思っていました。なぜなら、ATVメーカー自ら『ATVは運輸省認定車輌ではありませんのでナンバープレートを取得して一般公道を走ることはできません。』と言ってるのですから。この文章を読むと型式認定を受けないといかにもナンバーが取れないように読めますが、法律を調べた結果、型式認定は量産車の登録手続きを簡便化するためのものであり、公道走行許可を意味するものではないことが分かりました。

 なぜメーカーは上のように表現するのでしょうか。それは、かつてアメリカでバギーの事故が発生し、大きな訴訟問題になったからです。つまり、型式認定を取得していないから公道を走れないのではなく、公道を走ってもらいたくないから型式認定を取得できるような車両にしないのです。勿体ないですね。後輪直結デフ+デフロックに換装すれば、ATVは、ちょっとした全地形型コミューターに変身できるのに。性能を過信した運転が危険なのはATVに限ったことではありません。

 法律的には、保安基準に適合している車両を合法的に登録・保険加入し、必要免許所有者が、道路交通法を遵守して運用するならば問題はありません。関係省庁に確認を取りました。

 当サイトでも製作しましたが、難しいのはナンバーの取得ではなく、保安基準に適合させること、そして実用的な車両を創ることだと実感しました。迷いましたが、ナンバー取得の具体的手続きは公開しないことにしました。それは無責任な行動をとる者をこのサイトから誕生させたくないのと、公道版ATVの購入者が役所に申告する際に自ずと分かることだから公開する必要がなくなったからです。

 なお、型式認定を受けていない車両をベースにして公道版を製作する場合、適用される保安基準はベース車両の製作年のものではなく、最新のものである、と回答を頂きました。つまり、50cc超の4輪だと衝突安全も課題となるのです。また、特殊自動車とは基本的に構造要件が異なるので、現在、正当に登録できる可能性のあるカテゴリーは非常に限られています。

 ひとつは4輪ATVのまま排気量を50cc以下にするか、もうひとつは後輪を1輪にして逆三角形トライクにするか、です。いずれにせよATV本来の戦闘力はなくなります。そんな苦労して欠陥マシンを作るくらいなら、ジムニー買えば済むだろうとの結論に達しました。JB64なら対角スタックにも対応できるブレーキ制御が導入されたことだし。

以下、参考条文を列記します。

●道路交通法●

 車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者は、『その装置が道路運送車両法の保安基準に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等』(以下、整備不良車両という)を運転させてはならない
 運転者は、整備不良車両を運転してはならない。62条

   警察官は、整備不良車両に該当すると認められる車両(軽車両を除く)が運転されているときは、その車両を停止させ、ならびにその車両の運転者に対し、自動車検査証・保安基準適合標章・軽自動車届出済書(登録証書)等の書類の提示を求め、及びその車両について検査することができる。63条1項、令26条

●道路運送車両法●

 自動車・原動機付自転車は、『運輸省令で定める保安上又は公害防止上の技術基準』(以下、保安基準という)に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。40条42条44条

 保安基準は、道路運送車両の構造及び装置が運行に十分に堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を加えないことを確保するものでなければならず、かつ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであってはならない。46条

 国土交通大臣は、自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。75条
この申請は、自動車を製作することを業とする者又はその者から自動車を購入する契約を締結している者であってその自動車を販売することを業とするものが、製作又は販売をする自動車について行うものとする。自動車型式指定規則2条

 検査対象外軽自動車、小型特殊自動車又は原動機付自転車の製作を業とする者又はその者とその車両の販売契約を結んでいる者は、その製作し、又は販売する車両の型式について国土交通大臣の認定を受けることができる。施規62条の3

●自動車損害賠償保障法●

 自動車は、自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。但し、道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車については、適用しない。5条10条

 保険契約者は、その自動車損害賠償責任保険証明書の記載事項に変更があったときは、自動車損害賠償責任保険証明書にその変更についての記入を受けなければならない。7条2項


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