原付三輪の軽二輪への変更登録

 ホンダ・ジャイロ等の原付三輪車の排気量を拡大して、原付二種ナンバーを付けて運用されている方がいらっしゃいますが、2009年10月までは車両区分が異なるために合法的とは言えませんでした。

 道路運送車両法施行規則・第1条では原動機付自転車の範囲について、『2輪を有するもの(側車付のものを除く)にあっては、その総排気量は125cc(定格出力1kw)以下、その他のものにあっては50cc(0.6kw)以下』と限定しています。これにより、50cc超の原付三輪車は法的に存在しないことになります。

 道路運送車両法・第2条別表第一では軽自動車の内、軽二輪の範囲について、『二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)で、長さ2.5m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下、総排気量250cc以下』と定めています。側車付が含まれていることと、排気量に125cc超という限定がないことから、50cc超の三輪車が軽二輪になる可能性が出てきます。

 自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)では側車付二輪自動車の内、通称トライクについて、『またがり式の座席、バーハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』と定義しています。これは外圧によって追加された有名な条文です。
 (のちに 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第2条1項4号ロ にもこの文言が採用されました。)

 上記3規定を根拠にして排気量を拡大した原付三輪を軽二輪として登録できるかを、かつて地元の自動車検査登録事務所に尋ねたところ、『自動車検査業務等実施要領は検査業務のための規定であるから、検査対象外である軽二輪には適用されない。』と言われてしまいました。しかし、関東運輸局に対して、次の論拠を加えて再度質問をしました。

<1> 上記の回答に従うと、排気量の大きいトライクには衝突安全基準が適用されないのに、排気量の小さいトライクには衝突安全基準が適用されることになり、公平でない。
<2> 自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)(ロ)が新設された趣旨は、三輪車を二輪車として扱う国際的慣行に日本も合わせるためである。よってこの規定は、自動車検査業務のためだけに定めた定義ではないと考えるべきである。

 その結果、『50cc超250cc以下に排気量を拡大した原付三輪については軽二輪として扱わざるを得ない』と回答を頂き、登録区分については事実上お墨付きを得ました。尚、実際に登録する際に、各々の自動車検査登録事務所において別途、証明書類を要求されることがあるかも知れません。お役所の対応は一律ではありませんので、それは各自で問い合わせてください。

 2009年10月、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第2条の2 として 新たな規定ができたことにより、排気量を50cc超125cc以下に拡大した輪距460mm未満の原付三輪にも原付二種登録のチャンスができたと言えます。

2002.3.6 記述/ 2014.6.10 更新


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