混合交通における
原付の救済

[1] 私の二輪免許改正案


<1> 改正案の内容
  
現行制度
改正案
原付・普通自動車〜50cc〜125ccAT車
普通自動二輪車(小型限定)〜125cc(AT限定あり)〜125cc
普通自動二輪車〜400cc(AT限定あり)排気量については1年後限定解除
大型自動二輪車AT限定は650ccまでAT限定でもはじめから排気量制限なし


<2> 原付、普通自動車免許で125ccまで認める理由

 皆さんご存知の通り原付特有の規制として法定速度30km/h、左側端走行、二段階右折というものがあります。この規制に従って公道を走行することがどれだけ危険かは実際に体験したことのある人間にしか分かりません。

 重量車の轍で凹凸しているところをフラつくような速度で走る。十分な車間距離を開けることなく追い抜くドライバーは少なくないし、左から進入してくるクルマにも発見されにくい。路上駐車をかわすための一時的な速度上昇→車線変更も、瞬間的な速度超過だけを見て機械的に取り締まることのできる警察。

 言いたいのは、『ひとつの車線に異なる法定速度の車両を混在させることの危険性』。要するに、原付はクルマの流れに乗れないから危険なのだ。動的な安全性が問題なのだ。二段階右折にしても、原付に限って強制・制限するべきものではない。二段階に右折した方がかえって早く右折できることもあるので、無理してまで右折レーンに割り込む必要はない、という程度のこと。そのことと排気量の大きさには何の関係もない。

 警察は、原付免許の取得が容易であること≒原付ライダーの操縦技術が未熟であることを規制根拠にしたいようだが、それなら初心者期間を満了した=1年を経過した原付免許所有者に規制する必要はないし、まして二輪免許所有者が運転する原付車両には適用するべきではない。 また、十分な動的安全性を持った50ccも数多く存在するので、原付の性能面からも規制根拠が交通の安全と円滑にあるとは言えない。原付規制の廃止を強く要望する。

 リミッター装着も撤廃するべきだ。車種にもよるが、できの悪いものだと60km/h付近で勝手にブレーキを掛けられた状態になり、とても危険だ。バイクメーカーにしても製造コストを嫌っている。はじめからある程度スピードが出るようにしておけば無理な改造も減り、メリハリのある運転も期待できよう。

 安全性もさることながら騒音、排ガス、燃費、耐久性などの環境性能・経済性も考慮すると原付二種である125ccまで認めるのが合理的だと思う。

<3> その一方でAT車に限定する理由

 私が原付免許を取得した時の『講習』は何千円も払った割には、数分間スクーターを転がすだけの内容だった。かつての原付免許は実質ペーパーテストだった。スクーターならそれでもいいが、公道に出て初めてギアチェンジを経験するというのでは、やはり危ない。一時期警察は50ccのMT車に対しても『教習』を義務付けようとしていたが、バイクメーカーの反発に遭ったという。ただでさえMT車の製造コストが高いところ、免許条件まで厳しくされたら、ゼロハンスポーツがさらに売れなくなるからやめろ、と。

 しかし、規制すべきものには規制は必要だ。運転がラクすぎて無理な割り込みをする原付スクーターがいるのも事実。規制廃止の条件として、原付にも簡易な技能試験/教習を導入するのもやむを得ないかも知れない。その代わり50ccという枠を外し、AT車とMT車で内容を分ける。MT車は50ccといえどもそれなりの練習は必要だと思う。二輪免許制度は、排気量の大小という区分から運転操作の難度という区分に変えたらどうだろう。

 そして普通自動二輪小型AT限定免許という区分が登場し、安全に混合交通できる最低限の免許が、妥協できるくらいの値段で取得できるようになった。しかし、まだまだ敷居は高い。今現在50ccのスクーターに乗り慣れている人に、新たな出費をさせることなく125ccのスクーターの免許を与えることが、交通の安全環境負荷の低減に資するのである。ここ数年の運転免許の細分化・多種化は教習所や交通警察を潤わせるためのものに思えてならない。

<4> 大型二輪免許を緩和する理由

 原付ライダーの救済には関係ないが、大型二輪免許も緩和してもいいと思う。バイクはジャンルごとにポジション、運転操作、視界がほとんど同じである。エンジンの大きさで変わるのは取り回しの重さ足着きぐらいで、運転の難度はほとんど変わらない。むしろいったん動き出してしまえば大きなものほど身を任せてゆったり運転できる。

 一方、クルマは、運転席の位置が変わるだけで大きく視界が変わる。他者の安全を考えるなら、むしろクルマでこそ運転できるものを細分するべきだと思う。

 んで早速07年から細分化されちゃいました(笑)。従来は最大積載量5トン・車両総重量8トン・乗車定員11人から大型免許を必要とする2区分でした。

 07年6月からは、最大積載量3トン・車両総重量5トン・乗車定員11人から中型免許を必要とし、最大積載量6.5トン・車両総重量11トン・乗車定員30人から大型免許を必要とする3区分になりました。(MT/AT、第一種/第二種で更に分かれる)

 しかし、最大積載量3トン未満で車両総重量5トン未満で乗車定員10人以下なら、フルサイズ(全長12m、全高3.8m、全幅2.5m)であっても(そんなクルマは皆無に等しいが)最低区分である普通免許で運転できてしまう。車両サイズや運転席の位置は直接的には考慮していません。この改正について深刻な人手不足が続く運送業界から批判がおこり、18歳で2トン車が運転できるように中型免許区分を更に細分化し直すことになってしまいました。

[2] 取締りの標的を変える

<1> 原付狩りを許さない

 流れの速い道路でゆっくり走る原付を、充分に距離をあけて追い越すなら問題ないが、流れを乱さんと一生懸命走る原付を幅寄せのごとく強引に追い抜くドライバーは許せない。そして被害者ともいえる原付の方を機械的に取り締まる警察も許せない。一般道の流れが悪く、原付のもらい事故が多いのは、こういう原付狩りが公道にのさばっているからだ。

<2> 危険行為を取り締まる

 たとえ速度超過していても流れに無理がなければ静的には安全であり、速度超過そのものを取り締まる意味はほとんどないと思う。それよりも交通弱者に対する無理な追い越し・追い抜きのように動的な安全性を乱す輩を取り締まるべきだ。この手の車両を安全に捕獲するには白バイでは効果が期待できない。私が警察だったら125ccクラスの覆面スクーターを用意して自らが被害者となる。フロントに証拠記録用のビデオカメラを仕込んで常時撮影しておく。このようにすることで、私服警官による恣意的・誘導的な取り締まりも、ドライバーによる言い逃れも防止できるだろう。また、後面からの撮影にすることでドライバーのプライバシーにも配慮できる。

<3> 市民が市民を取り締まる

 証拠記録用のビデオカメラを一般車両に装備するのなら、“警察が市民を取り締まる”というやり方ではなく、“被害者(市民)が加害者(市民)を直接訴える”という方法も可能だろう。そしてその裁判の判決は運転経験のある陪審員(市民)が下す。

記述1999.5  加筆修正2008.1


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