自動車諸税の改正

まえがき

 環境負荷や社会迷惑度に応じた自動車諸税を設定すれば、間接的にでも交通の安全や円滑につながるかもしれない。

<1> 燃料税(ガソリン税)

 消費税と合わせるとガソリン代の約半分は税金が占めている(東京都内2016年時点)。二重課税していることや税金の高さには不満だが、『環境負荷量=ガソリン消費量』に比例して課税している点では公平だ。なぜなら、いくら燃費が悪いクルマを持っていても、走らせなければ排気ガスは出さないのだから。

<2> 重量税

 道路を傷める重いクルマほど多くの修復代を負担するべきである。現行は大型車に対する課税が甘い。二輪、軽、商用、事業用の差別をなくし、全ての車両に対して公平に課税する。本来は重量×走行時間を課税標準とするべきであるが、測定可能性により重量のみを課税標準とせざるを得ないだろう。『500kgごと』の課税単位を『250kgを超えるごと』に細分して、バイクも250kgを超えるものは課税し、直線比例的な重量税を設定する。測定する重量は車両総重量ではなく自重を課税標準とすれば商用、事業用にも配慮できよう。

<3> 自動車税

 燃費の良し悪しで自動車税を決めようという動きがある。それはそれで良いのだが、モード燃費の向上ばかり狙ってドライバリティの劣悪なクルマが増えたし、ひどいものはブレーキを踏むと極まれに暴走するクルマまで登場してしまった。不正計算するメーカーまで出てしまった。燃費なんて走り方いかんによって左右するから、固定資産税という側面も持っている自動車税にはそぐわない。環境負荷量に比例した課税をするのならガソリン税の方がいいし、低公害車を普及させたいのなら、取得時だけに影響する自動車取得税を利用するべきだ。

 自動車税を渋滞という社会的迷惑度に応じて決めようというアイデアもある。すると道路占有面積が課税標準となる。それならば、古いクルマにも新しいクルマにも公平に課税できよう。しかし、どんなデカイクルマを持っていても、車庫に閉じ込めておけば渋滞には加担しないから、走行時間も尺度に加えないと公平ではない。

 また、交通安全の見地からすると、車高も考慮するべきだ。なぜなら、車高の高いクルマの後ろを走らされると前が見えないし、そういうのが路上駐車していると車道を横切ろうとする歩行者も見えないからだ。

 動力源も多様化してきたのでに排気量や定格出力では公平な課税標準にならない。

 それなら、デカいクルマほど環境負荷や殺傷能力が高いとして、全長×全幅×全高=車両体積(直方体として計算)を課税標準とするのはどうだろう。軽自動車と小型車の格差を是正しつつ、軽自動車よりコンパクトな乗り物を普及させる意味もある。

<4> 自動車取得税

 政府は環境負荷の低減と買い替え需要の促進という一挙両得を狙って低公害車に対する自動車取得税の減税を始めたが、適用車種や適用年度を限定しているようではトータルでの低燃費車の普及は進まない。そこでこうしたらどうだろう。『買い替え車の取得税「率」は、下取り車からの燃費・排ガス性能と比較して決める』たとえば、リッター10キロ200万円のクルマからリッター20キロ100万円のクルマに買い換えた場合は、5%×10キロ÷20キロ=2.5%の取得税率になり、単純計算で、改正により、22,500円の減税になるが、逆の買い換えでは、90,000円の増額になる。

 と以前は思っていましたが、やはり燃費という尺度は公平性に欠けるし、メーカーの不正を助長する。そもそも購入時に自動車取得税と消費税を二重に課税している現行制度は明らかに違法だし、中古車に比べて新車が売りにくい原因のひとつにもなっているので、とっとと廃止すべきですね。固定資産税としてクルマの大きさで課税、道路維持管理費用として重さで課税、環境負荷税として燃料消費量で課税、購入時は消費税だけ。これだけで十分ではないでしょうか。各自が身の丈に合ったサイズのクルマを選べば、環境負荷も減るでしょう。

<5> 自賠責保険

 補償金額が低いので、実質これも税金だろう。車両ごとの課税から、運転者ごと(運転するモノの範囲で変わる)の課税に変えれば、安全運転意識も向上するし、複数台数所有者の負担が減り、景気もちょっとだけ良くなるかも。


2016.12.17変更、 初稿1999


雑記帳に戻る
表紙に戻る