CQモータース
キューノ(Qi)

 長所:1ベース車両の性能
 短所:2価格

 CQ(チョロキュー)モータース:キューノは子供用玩具・チョロQでドライブしたいというタカラの夢が生んだ電動ミニカーである。値段はMCC・スマートもびっくりの130万円である。そのくせ自社開発商品ではなく、ベース車両としてアラコ・コムス・オープン(65万円)を用いている。つまり、キューノを買うということは、この外装に対して65万円を支払うということを意味する。

 ベース車両に比べて積載性が大幅にダウンしている。ペダルとシートの間にハンドバック、シート横に傘一本くらいしか積めない。一応トランクスペースなるものもあるが、薄っぺたい物しか入らない。今回は『実用性というものを一切排除して乗る楽しさを追求した』ということだが、電動ミニカーに乗る楽しさ・魅せる快感を求めるのならZEROスポーツ・エレクシードRS(148万円)の方がはるかに正統派だ。

、、、以上。


、、、で終えたいのだが、今回はベース車両のコムスの試乗を兼ねてキューノに乗ってきた。
 EVだからういぃぃ〜〜んんという静かなモーター音しか聞こえない。アクセルをそっと踏めばゆっっっくりと加速し、ベタ踏みではスイスイ加速する。アクセルワークに対してスムーズに加速してくれる。MC‐1EV初期のCVTを採用した乗用車のようにギクシャクすることがない。加速そのものは速いとも遅いとも思わなかった。

 路面が良ければ振動は皆無だが、段差を通過するとバタン、バタンという音とともに強い衝撃を受ける。まるで板バネ車に乗っているかのようだ。一応4輪独立懸架だが、後輪内にモーターが収まっているのでバネ下重量が重すぎるのだろう。快適な乗用車に慣れてしまった人はこの衝撃に不満を感じるだろう。しかしホイール・イン・モーター機構はこのミニカーの最大の長所でもあるので悲観しないで頂きたい。

 クルマはデファレンシャルがあるから滑らかに旋回できるのだが、機械式のデフは回転差を増幅する構造になっているので、ひとたび片輪がスリップすると前進が困難となる。その状態を打破するためにリミテッド・スリップ・デフデフ・ロックを装備できるクルマもある。しかし重量増加・駆動ロスはミニカー規格には辛いものがある。

 そこでモーターを左右別々に搭載して両輪を無段階に駆動調整しようとしたのがコムス(キューノ)である。CPUとタイヤの能力次第ではいかなる低ミュー路面でも安全に前進・旋回することができるのだ。乾燥重量も重いので、専用チェーンも用意されているコムスならば、新雪でも十分なトラクションが得られるはず。最も安全に舗装路と低ミュー路面を連続走行できる原付はどれか?個人的にはコムスではないかと予想している。

 ロールは多少大きめだったが、キューノはまるでテールスライドしているのかと思うほどスムーズかつコンパクトに旋回してくれた。タイトコーナーブレーキ現象という言葉があるが、直結でなくても・タイトコーナーでなくても・わずかにブレ−キ現象が生じている⇒機械式デフは路面からの抵抗を受けて始めて作動するものであることを、キューノに試乗してみて改めて実感した。

 制動力。ドラムブレーキだからなのか回生ブレーキだからなのかは分からないが、初期制動が若干鈍いと思った。その一方で停止するまで同じ力でブレーキペダルを踏み続けても綺麗に停止できたし、急ブレーキでもスリップしなかった。乗用車より強めにブレーキペダルを踏む必要はあるが、制動フィーリングはとても良かった。ハンドリングも電動パワステ車のように軽快だった。

 試乗コースが短かすぎて最高速は試せなかった。公表値は50km/hとのことだが、タイヤ変更・重量増加・減速比は同じという状態で、本当にコムスと同じ50km/hが出るのだろうか?これだけ車幅があると楽にキューノを追い越せない。最低でも50km/hは出てくれないと交通の円滑を極度に妨げることになる。

 ベース車両が優秀で走行性能に不満はないが、このデザインと価格では遊園地懸賞品にしかお勧めできない。発売直前にユニクロが販売計画を撤回したのも頷ける。

CQモータースHPアドレス紹介:http://www.cqmotors.co.jp/
ZEROスポーツHPアドレス紹介:http://www.zero-ev.com/

2003.9.7 記述

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