ホンダ・シャリー50

 長所:カブ系エンジンを搭載していること。
 短所:カブ50よりも高かったこと。

 何を今さらシャリーなんぞって聞こえてきそうですが試乗機会があったので簡単に。試乗したのは12Vの最初のモデル。

 トルクは低中速よりに振っている。負荷70kgなら2速発進も苦しくなく、3速発進もなんとか可能。本体の軽さもあって平地・発進時ではカブ90に近いトルク感がある。しかし登坂になるとさすがにアクセルは全開を要す。

 クラッチが自動なので、変速操作はペダルシフトとアクセルワークの同調で行なう。ギアは3速しかないが、なかなか実用的な間隔設定だ。特に2速の守備範囲が広い。負荷70kgで0km/h〜40km/hをこなせるから、変速操作が面倒というのなら2速固定で使うという方法もある。このときの加速はミントに近い。

 メーター内表示によればギアごとの最高速は1速=20km/h。2速=35km/h。3速=60km/h。実際の最高速はそれを振り切って65km/hまで伸びた。ハーフスロットルでも騒音的に苦しくない50km/h巡航ができる。40km/hぐらいまでならカブ90よりも静かだ。中国製のコピーエンジンより明らかに軽快に回る。

 サスペンションはあくまで低中速でソフトになる設定で、コシというものがない。路面が粗くても速度を上げても乗り心地が悪くなる。足回りはカブ系で最も貧弱ではなかろうか?まあ、、、試乗した奴の体重が想定している“お客さん”よりかなり重いんだろうけど。

 安定感も期待ほどではなかった。モンキーよりホイールベースが長いけどアドバンテージを感じない。むしろニーグリップできないぶんモンキーより旋回が怖いくらいだ。

 シート形状は細長くて平板。1時間もするとケツが痛くなる。シャリーには一時期70ccモデルも存在していたが、こんな足腰じゃあとても2ケツする気になれない。

 燃費は実用的な走行で65km/L前後。30km/h一定で走行すると本当に115km/L走るかどうか試してみたいところだが、テストコースでさえ300km10時間以上の労働になるので遠慮した。

 燃料計が付いてるので、燃料コックの切り替えはON-OFFだけ。リザーブタンクもない。燃料計の針がEに指しかかってもまだ1Lもガソリンが残っているので、給油をぎりぎりまで粘ったとしても航続距離は、2.8L×65km/L⇒150kmに届くかどうか。

 小さいので取り回しがいい。ウインカースイッチはカブと異なり、ちゃんと左側に付いている。積載はカゴとリアキャリアがある。リアキャリアは普及タイプのスクーターよりもしっかりした造りだが、フロントのカゴはママチャリに毛が生えた程度の剛性しかない。

 ライトが結構いい。光量こそ30Wだが、カゴ下設置のため荷物を積んでもライトが隠れないし、フロントフォーク設置のため光線はハンドリングと同じ方向を照らしてくれる。

 結論としては商品コンセプトのとおり近距離限定・おばさん用・買い物バイクだ。フルオートマでもなくセルが付いてるわけでもないのに、最終モデルの価格はカブ50よりも高い179,000円だった。絶版になってからは中古価格も上がってきた。ミッションスクーターという意味ではジョルカブが後継車にあたるだろうか。

2001.9.13 記述

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