ベトナムホンダ
PCX(JF81)
PCX150(KF30)

 長所:1快適性 2航続距離 3コスパ
 短所:1グラブレール

 早いものでPCXも3代目を迎える。国内市場に初めて登場したのは2010年だったから4年毎にモデルチェンジするペースはバブル時代のクルマのようだ。今回試乗したのは2018年にベトナムで生産された日本向けガソリン車PCX(WW125J、以下JF81という)とPCX150(WW150J、以下KF30という)のABS非装着車である。KF30は2018年10月以前に発売されたので、2021年9月まではABS非装着車を選ぶことができる。

 まずはJF81燃費発進加速
 アイドリングストップモードにして比較対象区間324.6km(※1)を走行したところオドメーターは333.2kmを表示した。距離計の誤差は+2.6%と推定する。その区間の平均燃費は満タン法で54.8km/Lになった。平均燃費計もそれに近い値を表示していた。

 発進加速は実に穏やかなものである。 JF81に85kgの負荷を掛けて平地でアクセルを全開にするとGPSは次の速度を表示した。100mで54km/h、200mで73km/h、300mで80km/h、400mで84km/h、500mで87km/h、600mで88km/h、700mで89km/h、800mで90km/h、900mで91km/h、1,000mで92km/h、1,100mで93km/h、1,200〜1,300mで94km/h、1,400〜1,500mで95km/h、1,600〜1,700mで96km/h、1,800〜1,900mで97km/h、2,000mで平地最高速の98km/hを表示した。この時、JF81のメーターは104kmを表示していた。同日同所で乗り比べたJF56の方が抜けが良く、前半は速そうな気がしたが、GPSが示した進行距離ごとの到達速度はJF81とほとんど変わらなかった。

 GPSを基準にした速度計誤差は平地最高速で(104-98)/98=+6.1%だったが、下り坂でGPSが102km/h を示すとき本体のメーターが111km/h を示した。(111-102)/102=+8.8%となる。同じ車体の速度計誤差にここまで大きなバラつきが出るのは初めての事で困惑している。また、GPSと車両本体で到達速度が異なるのは当然としても、到達距離が切り替わるタイミングも前半はズレが多い点も気になっている。というわけで、GPS数値もあくまで参考値ということでご了承願いたい。ちなみに前半は車両本体よりGPSの方が到達距離の切り替わりが早いので、GPSの到達距離を基準にしたGPS速度が一番低い速度表示になり、当サイトではその数値を用いている。

 次にKF30燃費発進加速
 アイドリングストップモードにして比較対象区間307.4kmを走行したところオドメーターは318.2kmを表示した。距離計の誤差は+3.5%と推定する。その区間の平均燃費は満タン法で50.3km/Lになった。平均燃費計は53.1km/Lを表示していた。距離計の誤差を考慮すれば、“盛り”も少ないと言える。

 アイドリングモードに切り替えて単独乗車で高速道路を流れに合わせて走行したところ、実燃費は往路が36.0km/L(平均燃費計は38.2km/L)、復路は54.0km/L(平均燃費計は54.6km/L)になった。流れに合わせると言っても15psしかないKF30での往路はアクセル常時ほぼ全開となる。しかも約800mの標高差を一気に駆け登っている。ちなみにNMAX155の実燃費は往路28.9km/L、復路は53.1km/Lだった。やはりNMAX155は4バルブ領域を使うと燃料を喰うようだ。

 KF30に85kgの負荷を掛けて平地でアクセルを全開にするとGPSは次の速度を表示した。100mで57km/h、200mで79km/h、300mで88km/h、400mで94km/h、500mで99km/h、600mで102km/h、700〜800mで103km/h、900〜1,000mで104km/h、1,100〜1,200mで105km/h、1,300〜1,400mで106km/h、1,500〜1,600mで107km/h、1,700〜2,000mで平地最高速の108km/hを表示した。このときKF30の速度計は116km/hを表示していたので、速度計の誤差は(116-108)/108=+7.4%と推定する。1,700mまではNMAX155と瓜二つの加速性能だった。

 JF81ではアイドリングストップ状態からの発進においてスロットルを回してから再始動・再発進するまでの反応はJF56と同様にJF28より若干遅いような気がする。また、再発進が半テンポ遅いくせに、発進直後に回したスロットル量よりも大げさに飛び出す傾向が若干ながらあったのはKF18に似ている。すぐに慣れる範囲だが、タイトコーナーでのアクセルワークに気を遣う瞬間もあった。なお、JF56の時のような加速不良は発生しなかった。

 運動性能は良好。良好ではあるがベストではない。
 前後輪とも細かったJF56は低速時には軽快感が、高速時には安定性が顕在化するハンドリングだったが、深くバンクするほど安定性を失うし、速度を上げるほど腰高感も高まるスクーターだった。よってJF56で不安無くコーナリングするには後輪を前輪にトレースさせるように走る意識が必要であった。

 JF81は前輪を1cm、後輪を2cm太くして扁平率も変更して挙動が少し変わった。低速は以前ほど身軽ではなく、腰を使ってちゃんと倒す必要が出てきた。速度を上げるほど直進性は高まるが腰高感はそう増えない。低速域から高速域まで満遍なく安定性が向上している。旋回性については、倒し込むところまではJF56の方がクイックだが、ある程度寝かせた所からの粘り・踏ん張りはJF81の方がある。JF81はタイヤの端が使えるようになったので、寝かせた後の操縦に自信が持てるようになった。JF81は前輪が太くなったことで、寝るのが少し遅くなったと思う。減速・倒し込み・起き上がりでメリハリを付ける必要が出てきたが、逆にそうすることでダイナミックに走れるようになった。一次旋回のJF56に対し、二次旋回のJF81、と表現していいだろうか。それでも依然として旋回より直進の方が得意である点はJF56JF81も同じである。この傾向はKF30も同じだった。

 一次旋回・二次旋回なんて意識せずともクイクイ曲がれるNMAXの方が直進性と旋回性のバランスは良い。走り第一で選ぶなら依然としてNMAXをお勧めしたい。路面状態が良い日本で乗るなら12〜13インチホイールが原付二種スクーターのベストバランスだと思う。

 KF18は速度を上げる程に直進安定性と同時に腰高感が高まった。安定しているのに頼りないという独楽のような存在だったが、KF30ではその恐怖感が薄れ、高速道路でも安心して走行できるようになった。太さを変えたタイヤと軽量化したホイールが効いたのだろう。自動車専用道路を使う機会があるのなら、いくら安くなったからといってKF18に妥協しないで欲しい。

 フレームはアンダーボーン型からダブルクレードル型に変更された。JF56でもフレーム剛性そのものに不満はなかったが、後輪から受ける衝撃が強すぎて『はうっ!』と腹の底から声が漏れてしまうことがあった。お尻のほぼ真下から突然衝撃が来て10cmほどガーンとお尻を浮かせてしまうJF56に対し、JF81の場合、ケツの周りを囲う枠のようなものが衝撃を受け、ケツをシートに一瞬押し付けてから5cmほどポーンと浮かせるような衝撃になった。“囲う枠”がダブルクレードル化の効果で、“押し付け”がリアサスのスプリングの巻き間隔に変化を与えたことによるプログレッシブ効果だと思う。JF56に比べればJF81乗り心地は良くなったが、スクーターにしては、という話であって、CB125Rモンキー125等と比べちゃいけない。バネ下に後輪と共にエンジンまでぶら下がっているスクーターはどうしてもチェーン駆動のバイクに乗り心地では負けてしまう。でもJF81になってスーパーカブ110(JA44)より乗り心地が良くなったのではないかと、薄々感じている。

 JF81乗り心地でひとつ気になるのは、路面の凹凸が前輪を通してハンドルポスト下を絶えずカタカタ鳴らしていることだ。タイヤのグリップが向上したことで路面状態を良く伝えるようになったか?フレーム変更による全体的な剛性向上が、スクーター然としたフロント周りの剛性不足を目立たせる結果となったか?あるいはその両方ではないか?
 フレーム形状はより立体化したが、フレームの直径そのものは細くなっている。変更目的が剛性向上だけだったなら、フレームの直径は小さくしなかったと思う。HV・EV化に伴うスペースの確保が実は一番の目的だったのではないかと思う。

 なんだかんだいっても剛性感のあるフレームと良好な着座姿勢操縦性快適性は素晴らしい。原付二種2輪スクーター国内モデルで快適なツーリングをしたいなら、NMAXPCXがツートップである。

 短制動。左レバーだけ(といってもフロント1ポッド連動)で急制動するとDRYでもWETでも滑り出すが、右レバーのみや左右同時ならほぼ大丈夫だった。左右同時に握ると実に短い距離で停止できる。滑る際もいきなり摩擦がゼロになってツイーとリアが滑るのではなく、なんとなく後輪が前輪をトレースしていないような気がして後ろを振り返ると、(DRYでは)ブラックマークが路面に付いているという感じである。DRYでさえスリップ音は聞こえなかった。わめくことなく黙って自分の身を削って止めようとする健気なタイヤである。凍結防止のために縦溝が彫ってある路面もWETぐらいでは恐れずに通過できるようになった。先代の互換品として好評だったミシュラン:CITY GRIPが現行モデルのサイズF:100/80-14、R:120/70-14に合わせて標準採用された。今回のモデルチェンジで最も評価したい部分である。

 運転席シート表皮のグリップは良く、シートクッションも厚さはないが座り心地は悪くない。スポンジの弾力性が高いのと、今回、シート形状にわずかではあるが緩やかな窪みが設けられたことにより、先代以上に安定してケツを置けるようになったし、走行中のケツズレがなくなって、もはや長時間走行でも走行中の座り直しは(疲労回復目的以外では)必要なくなった。

 足着き性は先代同様で、股下(両足を肩幅まで広げた状態の股下から地面までの垂直距離)77cmの私が深く腰を掛ければ、片足はベッタリで、もう片足のカカトがわずかに浮く程度。ちなみに運転席の前後長は約40cm、最大幅は約33cmで先代に近い数値である。

 着座姿勢も相変わらず良い。アクセルペダルを踏むような自然な角度でフロア傾斜箇所に足を投げ出して踏ん張れる。今回、深く腰を掛けた所からフロア傾斜箇所までの寸法が数センチ伸びて、居住性も向上している。従来は身長170cm未満の私で丁度良いくらいだったが、身長175cmくらいの人でも狭いと感じることは無くなったと思う。NMAX登場で見直したのだろう。足は前に投げ出すだけでなく真横に置いてボディを挟み込むこともできる。試しにオネエ座りしてみたらニーグリップもカッチリ決まった(笑)

 後席は前後長で約30cm、横幅は前端約27cm後端約16cmとなり、先代よりわずかに狭いかもしれないが影響はない。シートクッションは薄いが弾力があり、短時間走行なら十分実用に耐える。今回、タンデムステップの格納方向が前⇔後から上⇔下に変更された。すりぬけ時に畳み忘れたタンデムステップが縁石にヒットしても自動的に畳まれない懸念はあるが、同乗者の乗降性や足置きが安定するのでこちらの方がいいと思う。信号停止で運転者が足を接地する際にも、タンデムステップに乗せた同乗者の足が接触しにくい位置にあるのも良い点だ。

 グラブレールは相変わらず同乗者が掴める所も荷物を引っ掛ける所もない。ショートスクリーンと共にバカスクの小排気量シフトに貢献したデザインパーツだからduck・tailと私は呼んでいる。先代はプッシュピンを外すだけでカバーを外してリアキャリアを装着できたが、JF81はグラブレール両脇のネジを外してグラブレールカバーを一度外す手間が増えている。その一方でグラブレール内側の窪みは大きくなり、取り回しハンドルとしては掴みやすくなった。

 グローブボックスはDCソケットを通してスマホ充電その他ができる。バッテリー上がり防止のため充電中はエンジンを切らないで下さいと、注意書きするのなら、電圧監視機能に取り込んで、DCソケット使用中はアイドリングストップ機能をキャンセルしてくれれば親切だと思う。空間的に充電との両立はできないが、サントリーPET600mlがすっぽりと、伊藤園PET670mlがぴったりと入り、カバーを閉じることができた。カバーは開けた状態でもハンドル操作の妨げにならず、内容物も落ちない。施錠ができないが、スマホ等の持ち忘れを防止する意味でむしろその方がいいと思う。

 先代で中間ストッパーが設けられたシートはより確実になって全開位置でもストッパーが効くようになった。いずれは交換が必要になるガスダンパーを用いるよりも安上がりだし、空間的にも無駄がない。なお、シートは落とすだけでは閉まらず、後席の端をしっかり押し込まないと閉じなくなった。

 Mサイズのヘルメット、アライ:MZ、同:Quantum-J、OGKカブト:ASAGI、同:RT-33の4つでヘルメット収納を試したところ、いずれも同じ結果になった。すなわち、ヘルメットを前向きに置いてシートを上から押さえ付ければシートを閉じることができた。そしてシートを一旦全開にすればメットホルダーワイヤーを噛まさずにヘルメットの全てのDリングをメットホルダーに引っ掛けてシートを閉じることができた。ヘルメットを2個同時に引っ掛ける際はメットホルダワイヤーが必要になる。収納することも引っ掛けることも辛うじて可能ではあるが、やや無理がある。先代ほどではないものの、トランク下部は逆さにしたお皿のような盛り上がりがあってヘルメットが若干浮いてしまう。無理やり押さえつけることでヘルメットの頬パッドを圧迫するし、頭頂部は直接シート裏に接触しているようなので、ヘルメット収納状態で着座しようものなら、ヘルメットがどうなっても知らん。ガソリン車であれば、ヘルメットと共に薄手のカッパ・グローブ等を更に収納することができる。motoFIZZのようにフックが細いゴムネットならシート開閉を妨げない方法でヘルメットを後席部分に固定できたし、DEGNER DB-45ならストラップをシート下に通してなんとかシートを閉じることができた。

 バックミラーはスリムで角張った形状に変えた。距離感を遠めることで視界の広さを維持し、淵部分の歪みを減らしたことと形状改善の結果、先代より後方視認性はいくらか良くなっている。変形五角形状をもう少し四角形に近づけてくれるともっと見やすくなると思う。

 左集中スイッチは、親指が円弧上に移動する軌跡に沿ってボタンが3つ配置されていて静止物としては綺麗に出来ているが、やはりブレーキレバーとホーンスイッチの同時操作がし辛くて、咄嗟のときは焦るだろう。

 先代のLEDヘッドライトは真っ正面から直射されれば痛いほど眩しいが、少しでも角度がズレると平面的な白い模様に見えてしまうライトだった。今回はライトレンズを工夫したようで目玉があるように見える。眉毛の位置に移動したポジションランプと相まって一段と表情が豊かな顔になった。被視認性は向上していることは、夜間走行時の周囲の反応でもはっきりと実感できた。

 左右双灯のロービーム。照射範囲は車体手前から50m位先まで上下に照らし、左右は本体から160度くらい運転者本人の視線からは90度くらいを照らす。ハイビームに切り替えると中央部も追加発光する。左右の照射範囲は増えないが、中間帯をより明るくし、上方向は100m位まで照らし青看をも反射させる。光軸を若干上にセットしているかも知れないが、照射範囲スーパーカブ110(JA44)より広いうえに、照射範囲内を満遍なく照らしている点を評価したい。ピンポイントの照射力スウィッシュにわずかに及ばないが、トータルでみればこれまで取り上げたLED車の中でベストと言える。やっと35Wクラスのハロゲンバルブの代替にしてもいいと思えるLEDヘッドライトが登場した。しかし白くても薄っすらとしているので夜間は目を凝らさなければならない点と、ハイビームにしてもコーナーの先を照らしてくれない点も相変わらずなので、更なる研究を続けて欲しい。

 メーター内は全てデジタル表示になった。直射日光下でも表示そのものは見やすい。メーターパネルの表面反射だけはどうしようもないが。エンジン回転計は無いが、他は充実している。操作スイッチはSET・SELectボタンが独立して分かりやすくなったし、平均燃費計距離計から独立して時計とともに常時表示になった。距離計はSELでODOとTRIPを切り替える。
 燃料計の目盛りは9つあるが、はじめの1つを消費するのに89kmも走行した。そこから先は32〜52km走行する度にひと目盛り減っていき、先代よりいくらかリアルな燃料計になっている。ガソリンスタンドが年々減りつつあるので、8Lタンクによる航続距離の長さは下道ツーリングで大いに重宝する。

 

 操作系の目玉はスマートキーだろう。まさか125ccクラスにスマートキーが採用されることになるとは。
 リモコンキーのボタンで自車のハザードランプを離れた所から点滅させるアンサーバック機能があるから、駐輪場内の全てがPCXになっても自車を見つけることができる。メインスイッチは普段はロックされていて無理に回すと空回りするという。スマートキーを所持する者が電波の射程内(本体から約2m)に入れば、やっとメインスイッチを操作することができるようになる。

 メインスイッチのノブをプッシュすれば青く光ってスタンバイ。リモコンONでもスタンバイ。夜間でも操作に支障はない。ΙがONで○がOFFだが、これは逆の方が分かりやすいと思った。Iと○の間のSEAT・FUELに回せば、右側にある(旧称)バタフライスイッチを押すことができて、やっと給油口やシートを開けることができる。なお、ハンドルを右側に切っても左側に切ってもハンドルロックがかかる点は先代を踏襲している。

 スマートキーシステムは物理的な鍵を持たないために、ポケットやカバンから鍵を出し入れする必要がなし、紛失の恐れもない。施錠操作を忘れても離れればオートロックされるので始動される心配もない。普段は非常に便利ではあるが、スマートキーの困った点は、リモコンと本体で常に電波を送受信しているため、いずれかの電力が弱くなってもメインスイッチを操作できなくなって始動不能になることだ。

 そこで、緊急事態(EmeRgency)を想定したERキーIDタグも常に携帯するように取扱説明書では指示している。物理キーだったら1つでいいのに、3つも携帯させるスマートキーシステムは全然スマートじゃないじゃん。
 始動不能に陥った場合の手順は次のとおりである。
1:メインスイッチ右側のメンテナンスリッド(カバー)を外してEMスロット(6角形の穴)にEMキーを嵌めて下に回すとシートが開く。
2:バッテリーカバーを外すとバッテリーが露出するので、本体のバッテリーが電圧不足で始動不能ならバッテリーを交換する。スマートキーの紛失または電池不足の場合は3:に続く。
3:EMモードコネクターに接続されているダミーカプラー(青)を携帯工具内のEMモードコネクターに交換すると、入力スタンバイ。
4:メインスイッチをON以外の位置にして、IDタグに印字されたIDナンバーを入力する。具体的には、メインスイッチ照明が点灯している5秒間の間に必要回数を入力していく。数字が5ならメインスイッチを5回押して、0なら1回も押さないで5秒間が経過するのを待つ。メインスイッチ照明が消灯すると数字が決定される。最後の数字の入力を終えて、認証が成功すると2秒間隔でメインスイッチ照明スマートキー警告灯が点滅する。失敗の場合は1秒間隔で点滅するので、3:に戻る。
5:EMモードカプラーを外すとメインスイッチが解錠されて6分以内にONにするとエンジン始動可能になる。

 この面倒な手順を踏みたくなければ、バッテリーチェックは欠かせなくなる。ちなみにスマートキーの電池不足(というよりスマートキーからの受信電力不足)だとスマートキー警告灯が5回点滅して知らせてくれるという。

 アイドリングストップ時は無振動で疲れないし、着座姿勢が良くて居住性も向上したので快適性を第一長所に挙げた。燃費ではアクシスZ、アドレス125、スウィッシュあたりに負けた可能性があり、本体もバッテリーも安くはないので経済性は対比長所から外した。運動性能はNMAXが上回るし、動力性能もリード125に負けるので走行性能も対比長所から外した。それでも細部にわたる改良で総合力は原付二種スクータートップと言えるし、それをこの値段で入手できるコスパは高いと言わざるを得ない。
 タイヤは太く粘り強くなって致命傷を脱したので対比短所から解除。LEDヘッドライトは課題が残るも現状では最良なので、短所から外した。あとはグラブレールという名称に相応しい、掴む・引っ掛ける構造を持たせること、ウインカー・ホーンの上下逆転を戻すか、オプションを設定してもらうこと、喫緊の要望はそれくらいである。準欠陥車も装備過剰車もラインアップするホンダ原付二種の中でPCXだけは前に進んでいる。

(※1) 暗黒の峠道が決壊していたので隣の峠道に迂回したコースに変更。

 

2020.1.1 KF30を追加
2018.9.2 JF81を記述

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