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ローマの休日でも登場したイタリア製スクーター:ベスパ。現在は4stエンジンをCVTで駆動するラクチンなバイクになっている。
動力性能は同クラスの国産車とほぼ同じか少し遅い感じ。発進加速は温和しくジワジワと速度を上げて行くタイプである。それでも発進から400mぐらいで80km/hを超えた。エンジン音・加速音はジョルノクレアと似ている。全域に渡って常時ブルブルと振動しているので、ジョルノクレアを排気量据え置きのまま無理矢理パワーアップさせるとこういう動力性能になるのかなという印象を受けた。最高速は90km/hを超えるだろうが100km/hには届かないだろう。
ハンドリングにクセがある。左片持ちフロントアームのためか右旋回と左旋回で異なる動きをする。右旋回時は前軸よりもっと内側からハンドルを切っている≒よりホイールベースの短いバイクで旋回している≒?オーバーステア的な感じがするし、一方、左旋回時はその逆である。回転半径が左の方が大きくなっているような感じがした。また、段差でバウンドした際、フロントタイヤの接地感がやや頼りないのも片持ちの影響だろう。
外車にしては足付き性も着座姿勢も良い。170cmない私でもベタ足だし、走行中はどこも体が圧迫されることなく自然な姿勢で運転できる。ただ2ケツ時の居住性となるともうひと工夫欲しい。シートスペースは問題無いが、後席の取っ手がない。リアキャリアに掴まろうとすると体がのけぞる。また、後席のステップが狭く、発進停止の度に運転者と足が接触する。おそらくカップルが濃厚に密着して乗るスクーターなのだろう。
操作性ではブレーキレバーがかなり外側に反っていて握り辛かった。ウインカースイッチも左に比べて右が付けにくかった。
装備類や外装。盗難警告灯が標準で付いている。エンジン始動時以外はいつも赤いランプが点滅しているという。膝の前にある収納スペースの蓋とシート表皮は遠目に見れば本皮のような高級感があるが、近くで見ると中小自動車メーカーのベージュ系インパネのごとくチープな素材である。またシート表皮は見た目ほどグリップしないし、メットインスペースを開けてみるとシートの取付剛性が柔いのが分かる。中身はフルフェイスはおろかジェットヘルメットすら収納できないのは不満だ。ヘルメット収納部分はワゴンRの助手席アンダーBOXのように取り外せて整備性を考慮している点はいい。
輸入車でありながらスペイシー125あたりの国産勢と値段は大差ない。しかし細かい点で作りが甘いのでやっぱり国産車より高い。1人で乗るなら女性に似合うスクーターだが、ブレーキレバーと振動がこのままでは女性にはお勧めできない。
なお、同時に試乗したベスパGT200Lの方が振動が少なくて、動力性能も圧倒的に上だった。ただハンドリングにクセがあるのは同じなのでややオーバースペックという感じがした。
2004.1.3 記述