ヤマハ
エアロックス155

 長所: 1デザイン 2着座姿勢 3直進性
 短所: 1航続距離 2積載性 3照射力

 ヤマハはアセアン市場トップのスポーツスクーターを目指してGDR155を開発し、2016年12月から各国で発売した。今回試乗したのは、タイ向けAEROX155Rバージョンである。これは標準モデルにサブタンク付きリアサスペンションとウエーブ形状フロントディスクを採用したものである。この他に、(アイドリング)ストップ&スタートシステム、スマートキー、ABSを採用したABSバージョンもある。

 足着き性は170cmに届かない私が運転席に深く腰をかけると両足共につま先立ちになってしまうし、ハンドルも遠のいて猫背になってしまう。ハンドルが丁度良くなるところに着座すると今度は後席との段差にまでケツが届かなくなるが、足着き性はわずかに向上してカカトが浮くのは片足だけになる。170cmなくても操縦や取り回しに困ることはないが、175〜180?くらいの人が着座するとフロア先端につま先がくっつき、シート段差にケツを押しつけ、背筋がピンと伸びるドンピシャなポジションになるのではないかと思う。

 ニーグリップの代わりにフロアトンネルを挟み込もうとしてみたが、かなりオネエ座りしないとフロアトンネルやシートを挟み込むことができない。この点はNMAXの方が優れている。膝の少し前方・外側にボディカウルがエラのように張っている。普通に座るぶんには膝がエラに当たらないのだが、着座位置を思い切り前方にずらすと、両膝がカウルの内側に嵌ってニーグリップの代用になるばかりか、重心が前方に移動して落ち着いたハンドリングになる面白いポジションがあった。この膝固定機能は多人数乗車国での児童用立ち席も想定しているのだろうか。

 シート表皮のグリップは良い。シートは左右に最大約35cmの幅があり、長さも約30cmあるので大きめのケツでもシートに収まる。足元は水平よりわずかに前傾したフラットなフロアステップがフロアトンネルを挟んで左右別々に設けられている。NMAXのようにフロア先端が斜めに傾斜していれば、足をここに押し付ける一方で運転席と後席の段差にケツを押し付けることでステップとシートでバイクを前後に伸ばすようにして姿勢を安定させることができる。スポーツスクーターを標榜するならこのような踏ん張り方ができる方が操縦しやすいと個人的には思う。

 AEROX155のフロアステップ先端は絶壁となっており、つま先に力を入れても踏ん張りにくい。お行儀よく椅子に座るような着座姿勢をとるしかない。このときフロアが高いと姿勢を安定させるために腹筋や背筋が緊張するのだが、AEROX155のフロアステップ先端は車軸付近の高さにあり、膝は水平まで上がらず腹筋や背筋に負担が来ない。鷹揚に構えることで操縦性を確保しようとするのは@125/150SH125i/150iなどのコンフォートスクーター系のアプローチだと思う。AEROX155はフロアステップの前後方向にいくらか余裕があるため、膝を折って足を後方にずらすこともできる。着座姿勢の余裕と適度に硬くグリップの良いシートが操縦性を高めている。

 AEROX155シートクッションが薄いので、長時間走行ではケツが痛みはじめる。着座位置をずらす瞬間に尾てい骨がズキッと痛むこともあった。私の体格だと着座位置を多少動かして疲労を軽減できるが、身動きとれないほどの大柄な人だと信号停止の度に立ち上がってケツを休めるか、2時間位で休憩を挟まないとケツが辛くなるかもしれない。NMAXが投げ出し踏ん張り型、AEROX155が椅子座り型、アプローチは異なるがどちらも運転席の居住性は良く、操縦性も優秀なスクーターになっている。ヤマハの椅子座り型スクーターのなかでは最良のハンドリングではなかろうか。

 取り回しは重くも軽くもない。後席直下のスタンディングハンドルが高い位置にあり、リアヘビーなので、最初の一押しは少し力が必要になる。センタースタンド掛けの際もリアヘビーなのが良く分かる。センタートンネルがかなり高いので、サイドスタンドに車体を預けてから乗降したほうが立ちごけ防止になるだろう。

 YZF-Rシリーズのデザインを踏襲しているから全くの飾りだと思っていた後席だが、座面長は28cm、座面幅も15〜23cmほどある。これは一見すると広そうに見えるマジェスティSの後席座面と実はほとんど同じ寸法なのである。AEROX155の後席は中央部分にちゃんとクッションする部分があり、短時間乗車に限定すれば2ケツが可能である。ただし、運転者が足を接地する度に互いの足が邪魔になる。ステップもシートも高いので同乗者は乗り降りしにくいし、いざ座っても掴まる所もないに等しい。後席直下の窪みはスタンディングハンドルにはなるが、タンデムグリップに使うには位置が低すぎるのと手元が滑りやすいのでお勧めしない。テール部分のカウリングも圧を掛けると軋むので、後席に人を乗せるなら抱き付いてもらうか、運転者の腰に掴まることができるような装備を使いたい。

 2ケツ操縦性は見た目ほど悪くない。同乗中は重心が高く後方に移動しているのがはっきりわかる。それでも極太大径リアタイヤがしっかり支えてくれる。

 ハンドル幅は約70cm、ミラーtoミラーは約82cm。すりぬけ戦闘力は高いが、足着き性の悪さとフロントの軽さをカバーするために常に後輪に駆動を掛けておきたい。足着き性が悪いと言っておきながら短所と指摘しないのは、フロアの低さがすばやい接地動作を可能にしているからである。

 制動力は“並”かちょいその上。標準装着するタイヤの銘柄はIRC SCT-005F/R。サイズはF:100/80-14、R:140/70-14 であった。今までの試乗経験からIRCにあまり期待していないのだが、記録的短時間大雨情報が発令している最中でもタイヤは滑ることはなかった。凍結防止のために縦に溝が掘ってある路面では、乾燥している所では前後輪とも平気だったが、濡れている所では若干前輪が捕らわれることがあったのが少々残念である。
 タイヤが滑りにくいのは、車体性能に比して制動力が低いからだと思う。約210mm径フロントディスクローターは14インチホイールからすれば決して大きくはないし、後輪に至っては随分と小径なドラムブレーキである。“アセアン市場トップを目指す”なんて小さいこと言わずに、フロント対向2ピストンキャリパー、リアディスクに換装して世界最強のコンパクトスクーターを目指して欲しい。
 余談だがタイヤマハの公式サイトをみるとABSバージョンのABSはフロントディスクブレーキにしか作用しないと書いているようだ。

 運動性能は優秀。特に直進性がいい。フロントがやや軽くて発進の一瞬だけはPCX/PCX150に譲るが、それ以降はビシッと安定する。NMAXも実はその傾向があるのだが、NMAXよりはじめから安定している。走行中にAEROX155のハンドルを強引に左右に振ってみると前輪と後輪の方向性がズレそうな挙動が垣間見える。その一方で腰だけで曲がろうとしても後輪は頑固にまっすぐ進もうとする。
 旋回性も優れているのだが、気になる点もある。ひとつは、寝かせるほどにステップが接地しないかとヒヤヒヤする。いざ接地したとしてイン側の足が抜けるかどうかもちょっと心配になる。もうひとつは、前輪が思っているよりもアウト側に膨らむような感覚がある。トリシティのアウト側の前輪とまではいかないが、バンク角を大きくするほど前輪の接地点が外側に移動するように感じるのだ。なぜだろう?前者についてはシグナスX-SR等と比べるとだいぶ低い位置にステップがあるので、自らの足が巻き込まれるのではという心配が出てくるのではないか。バンク角を稼ぐためにスーパースポーツはステップがかなり高い位置にある。そういうジャンルのバイクに乗り慣れた人にはステップ位置が高いシグナスX-SRの方がむしろ落ち着くのかもしれない。後者については前後輪の太さが結構違うので、傾けるほどに前後輪の接地点がずれてくるからではなかろうか。

 個人的にはフロアステップ先端はアクセルペダルぐらいの起き上がり角を付けた方が踏ん張れて良かったように思う。14インチホイールだとそれを設けるスペースも取れなかったのだろうか、ハイホイールスクーターはほとんどがステップ先端は絶壁となっているし。
 AEROX155のハンドリングを良く表現すれば『キレ味鋭い前輪にドッシリとした後輪を組み合わせている』。悪く表現すれば、『前輪と後輪の太さにメリハリを付けすぎた』。参考までにこれまで試乗してきた125〜155ccスクーターの運動性を振り返ってみる。
 PCX/PCX150は発進から高速域まで満遍なく直進性が高いが、速度を上げるほど重心も上がってくるような感覚がある。旋回性も高いが、寝かせるほどに細くてグリップの低いタイヤが危うさを醸し出す。乾燥路面だけで楽しみたい。
 NMAXは、発進時はかなりハンドルが軽いが、ステップとシートでしっかり踏ん張れるのでどうにでもなる。前輪と後輪の方向性も一致していて直進も旋回もオールマイティにこなす。
 NMAX登場以前は国内カタログモデルのなかで最も運動性が良かったと思われるのがシグナスXだと思うが、足元の狭さが全てを台無しにした。個性派ズーマーXも基本的な性格が似ている。
 シグナスXと同程度の居住性でありながら大きい車輪を履いて足着き性・操縦性が更に悪化したのがマジェスティS。大柄で高重心な車体に見合うトルクもなく、直進性を維持するためにはムキになって回すしかない。乗り心地はいいので高速巡航向きである。でも着座位置が高くてバウンドするとかなり怖い。
 直座姿勢の良さだけで得をしているのがアドレスV125(S)。威張るほどの長所がないのに小賢しく走れるのは足を伸ばして操縦できるからである。
 もはや突出した長所は持たない@125/@150だが、ディメンションが良くて疲れにくいし、運動性能もバランスが取れている。この7台で24時間戦を行えば、最後にトップに躍り出る可能性がある。

 AEROX155で走っていて一番思い浮かべたのが実は@125/@150なのである。ステップ先端が絶壁になっていて、センタートンネル付きのフロアは水平ないしは緩い前傾。ソファスクーターほどロングホイールベースではないし着座位置も低くはないが、適度な車重と良好な着座姿勢で操縦性に優れている。ここまで共通していてAEROX155をスポーツスクーターに、@125/@150をコンフォートスクーターに分けたのは、やはり前後タイヤの太さの差ではないだろうか。もしもAEROX155に乗っていてハンドリングがシャープ過ぎる、と感じたら前輪をひとサイズ太くすると@125/@150のように穏やかなハンドリングになるかも知れない。

 発進加速。85kgの負荷をかけて平地でアクセルを全開にしたところ進行距離ごとのGPS速度表示は次の通りになった。100mで70km/h、200mで81km/h、300mで87km/h、400mで94 km/h(ここまで約23秒)、500mで97km/h、600mで98 km/h、700mで100 km/h、800mで102 km/h、900m〜1,000mで103km/h、1,100〜1,200mで105km/h、1,300で106km/h、1,400mで107 km/h、1,500mで108 km/h、1,600mで109 km/h、1,700mで110 km/h、1,800mで平地最高速111km/hを確認した。このときエアロX155のデジタルメーターは116 km/hを表示していた。GPSを基準にすると最高速での速度計誤差は(116-111)/116=+4.3%と推定するが、500m以降は常に4〜5km/h高く表示していた。

 メーター読みの加速性能はマジェスティSとほぼ互角であった。細かく言えば前半はマジェS有利で、後半はAEROX155有利であった。4バルブに切り替わるとメーター内でVVAマークが表示される。エンジン回転では5,500〜6,000rpm、速度では75〜80km/hの間で切り替わることが多いようだ。

 比較対象区間(新)307.1kmを走行したところオドメーターは304.4kmを示した。距離計は−0.88%の誤差があると推定する。その区間の平均燃費は満タン法で47.2km/Lとなった。このとき平均燃費計は47.4 km/L と極めて正確な数字を表示した。
 単独乗車で高速道路を流れに合わせて走行したところ、実燃費は31.9km/L(マジェS=29.7km/L、PCX150=32.3 km/L、ジクサー=34.1 km/L)になった。流れに合わせると言ってもアクセル常時ほぼ全開である。しかも約800mの標高差を一気に駆け登っている。この復路を85km/h前後で走行したところ実燃費は54.1 km/L(マジェS=41.3km/L、PCX150=no data、ジクサー51.2 km/L)にまで向上した。必要以上の加速と渋滞を避けた市街地走行では50km/Lを超えることもあった。さすがに最新型のエンジンだけあって燃費はいい。

 開発者、上級者、熱烈なファンにブッ飛ばされる覚悟で言わせてもらえば、AEROX155の着座姿勢・操縦性・運動性能・動力性能・制動力を総括すると、生粋のスポーツスクーターというよりも、最強・最高級なモペットではないかと思う。そう思う理由が2つある。
 ひとつは、既存のモペットに比べれば足元の前後左右に狭さを感じさせない居住性だし、振り回しても怖さを感じさせない剛性だが、『バンクしすぎて車体を擦ったとしても自分の足は巻き込まれないだろうな』という大抵のスポーツスクーターにある安心感がAEROX155には不足している。フロア先端が低くて前に傾斜しているので、つま先がインコーナーに吸い込まれそうな不安が生ずるのである。倒し込むほどにワクワクしなければスポーツバイク(スポーツスクーター)とは言えないのではないか。
 もうひとつは、現時点でのタイヤマハ2輪スクーター=Fino、GrandFilano、Mio、Nouvoは例外なくフロアが低い、すなわちフロアとシートまでの高さに余裕があって椅子のように座らせるタイプである。モペットから進化したといえる形状で、AEROX155もその流れを踏襲していると思うからである。前後14インチというホイールサイズもいかにもアセアン地域で好まれそうなサイズだ。

 乗り心地は、インナーチューブの太さが26?程度しかないフロントサスに、サブタンクこそ付くもののプリロードアジャスターすら付いていないリアサスで大丈夫なのか?という心配はあったものの、高速道路をすっ飛ばしていても、路面のつなぎ目を通過しても強烈な衝撃をほとんど受けなかったように思う。普通のツインショックにサブタンクを付けただけのように見えるが、意外にもマジェスティSより穏やかに走ったように思う。でもさすがに横からの強風は怖かった。ニーグリップできないのでハンドルを握る手についつい力が入ってしまう。強く握ったところでどうにかなるわけではないのだが。

 静寂性。全開ではかなり賑やかになるが、普通に走行するぶんにはウルサイと思うことはないだろう。エンジン始動がとても静かである。スタート&ストップ=アイドリングストップ機能は付いてないRバージョンだったが、始動ボタンを押すだけでフンワリとエンジンがかかるところは、ホンダeSPにそっくりだ。始動用動力と発電を兼ねるヤマハ初採用のスマートモータージェネレーターは全車に搭載しているようだ。エンジンの振動も特に気にならなかった。もはや低燃費・低騒音は当たり前の時代になってしまった。

 収納力
 トランク容量は25L。ヘルメットは逆さにして後ろに向ければQuantum-J(M/L)かMZ(M/L)を1個収納することができた。少しでもヘルメットを置く角度がずれるとシートが干渉するのだが、シートを閉める際にトランク底部とヘルメット頭頂部が自動的に滑って調整してくれる(笑)。ヘルメットを1個入れても両脇や後方にまだ余裕がある点はPCXに似ている。開口面積が広いので、登山用30Lデイパック(中倍率ズームレンズ付き一眼レフ、雨合羽、工具だけを入れている)も無理やり押し込めることができたが、バイクのためにもデイパックのためにも25L以下のデイパックを推奨します。
 ヘルメットホルダーはシートヒンジ付近にプラスチックの突起が2つある。左右どちらにもQuantum-J(M/L)、MZ(M/L)を引っ掛けることが出来た。NMAXPCX(JF28)のようにヘルメットホルダーワイヤーは不要である。
 左膝前にフロントポケットがある。中には充電に使えるソケットがあり、その脇にはスマホを立てておく位の空間はあるのだが、押して開く・押して閉じるだけのちチャチな構造なので、走行振動で収納物が暴れて蓋が開いてしまわないか心配だ。

 積載性はほぼ絶望的。
 足元に荷物は置けないのは勿論のこと、コンビニフックの類も一切ない。
 リアキャリアは付けられそうな所がないので、社外オプションでも望みが薄い。タンデムステップ取付部とリアサス取付部を結ぶようなサブフレームに、、、などは夢のまた夢である。リアシート上に荷物を置いたとしてもサブタンク付け根付近しかゴムネットのフックは引っ掛からなさそうだが、、、シートを開けると、ここにストラップを通しなさいと言わんばかりの所があったが?

 操作性その他。
 メインスイッチ。ONとOFFの間に給油口/シート解錠ボタンを押せる中間地点があるのはホンダのバタフライスイッチのパクリ。あるいは小さい所で業務提携がもうはじまっているのか?

 ウインカースイッチは一般的なプッシュキャンセル式を採用。リレーのカチカチ音は省略された。どのスイッチもコンパクトで指が適度に滑って操作しやすいし、経年劣化しにくそうなスイッチの手触りである。スイッチボックス自体をもっと奥に引っ込めてくれると、リアブレーキとホーンの同時操作がもっとしやすくなると思う。

 メーターはフルLCD表示とのこと。昼間は白く夜間は赤く文字が光る。直射日光が激しいと速度計くらいしか見えないことがある。それと肉眼では感じないが、動画を記録するとフリックしているのが分かる。ボタン一つでODO→TRIP→瞬間燃費計→平均燃費計→バッテリー電圧計→と切り替わり、ODO長押しで時計調整、TRIP長押しで区間距離リセット、平均燃費計の長押しで燃費計算リセットが可能である。非常にシンプルでに分かりやすい。

 ヘッドライト はLED。照射範囲は左右に140度くらいでロービームは10m程度までしか照らさない。ハイビームに切り替えるとロービームに加えて両脇のLEDも点灯するが、左右の照射範囲はあまり変わらず、中央部のみ照射距離が25m程度まで伸びる。暗黒の峠道では、ハイビームに切り替えてもクリッピングポイントを全く照射してくれず、30Wクラスのハロゲンバルブよりも頼りなかった。日中、ロービーム走行をしていたら車間距離が接近しているにもかかわらず対向右折車が突っ込んでくることが何度かあったので、ポジションランプを併用していても被視認性が低い可能性がある。普段からハイビームを使い、暗所ですれ違う時のみロービームに切り替えた方が安全かもしれない。

 バックミラーNMAXと同じものだと思うが、変にカットされた形で鏡面積は狭く、淵付近は映像も歪んでいる。加えてミラー位置が低すぎて視線移動も大きい。トリートアクシスZの方がまだいい。

 燃料タンク容量はなんと4.6Lしかない。燃料計は目盛りが6つある。満タンにして約60km走行して目盛りが6つから5つになった。更に約20km走行して4つになり、更に約15km走行して3つになり、更に約35km走行して2つになり、更に約35km走行して1つになり、更に約20km走行して1つの目盛りが点滅した。燃費とタンク容量から逆算すると後30km走行するとガス欠になる。はじめの目盛りだけ若干距離が長いのは目一杯給油しているからだろう。逆流防止装置に合わせて給油を止めれば、ひと目盛りごとの航続距離は15〜35kmと比較的平準化されており、現実的な航続距離を表示していると思う。
 航続距離はツーリングでも最大50km/L×4.6L=230km程度。このあたりはPCXに大きく劣っている。どうせフロアトンネルが乗降の妨げになっているし、オネエ座りしてもニーグリップできないのだから、内股のタンク容量はもっと増やせるはずだ。

 見てヨシ、走ってヨシ、燃費もヨシ、アグレッシブな外観から想像するよりもお行儀の良いスクーターであった。NMAXと並んで今、私が最も買ってもいいと思うスクーターである。ところで最近のヤマハ原付二種+αは走ってイイものほど使い勝手が悪くなる傾向がある。かといって実用ラインもアクシスZでは頼りない。走りと実用性のバランスに優れたスクーターが他社から登場したらヤマハ車すべてがソッポ向かれる恐れがある。走りに特化するなら、ブレーキとライトの強化は必須だ。それとパクリは止めよう。前後14インチ、LED、発電機能付きスターター、メインスイッチ、エラ張ったデザインなど、あまりにもPCXに似すぎている。NMAXがヤマハ版PCXとするならば、AEROX155新型PCX150そのもの。ないしはPCX150 typeSと言えようか。

http://www.yamaha-motor.co.th/automotive/product.php/type/automatic/menu/spec/title/Yamaha-Aerox-155-2016

2017.7.22 記述

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